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会社を辞めたときに雇用保険から出るのが基本手当(いわゆる失業保険)です。自己都合で退職した場合の給付制限は、退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月になりました(それ以前の退職は原則2か月)。1日あたりの金額の上限と下限は、2026年8月1日に改定されています。
この記事では、ハローワークと厚生労働省の資料だけを根拠に、もらえる条件、1日あたりの金額、もらえる日数、振り込まれるまでの流れ、再就職手当、国民健康保険料の軽減を整理します。金額はすべて2026年8月1日以降の額です。
もらえる条件は「失業の状態」と「被保険者期間」
基本手当は、次の2つをどちらも満たすと支給されます(ハローワーク)。
- 失業の状態にある:ハローワークで求職の申込みをし、就職しようとする積極的な意思といつでも就職できる能力があるのに、職業に就けない状態
- 離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算12か月以上ある。倒産・解雇などによる離職(特定受給資格者)や、期間の定めのある労働契約が更新されなかったことなどによる離職(特定理由離職者)は、離職の日以前1年間に通算6か月以上でも可
被保険者期間は、離職日から1か月ごとに区切った期間に、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上、または時間数が80時間以上ある月を1か月と数えます(ハローワーク)。雇用保険に入る条件は「106万円の壁」の記事に書きました。
★すぐに働けない状態だと受け取れません。ハローワークは、病気やけがのため、すぐには就職できないとき、妊娠・出産・育児のため、すぐには就職できないとき、定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき、結婚などにより家事に専念し、すぐに就職することができないときを挙げています。病気・けが・妊娠・出産・育児などで引き続き30日以上働けないときは、受給期間の延長を申請できます(後の節で説明します)。
1日あたりの金額(基本手当日額)
基本手当の1日あたりの金額を基本手当日額といいます。ハローワークの説明では、原則として離職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた賃金(賞与等は除く)の合計を180で割った「賃金日額」のおよそ50〜80%(60〜64歳は45〜80%)で、賃金の低い人ほど高い率になります。
2026年8月1日からの上限額は次のとおりです(厚生労働省)。
| 離職時の年齢 | 賃金日額の上限額 | 基本手当日額の上限額 |
|---|---|---|
| 29歳以下 | 14,900円 | 7,450円 |
| 30〜44歳 | 16,540円 | 8,270円 |
| 45〜59歳 | 18,220円 | 9,110円 |
| 60〜64歳 | 17,400円 | 7,830円 |
基本手当日額の下限額は年齢に関係なく2,562円(賃金日額の下限額は3,203円)です。上限・下限は毎年度の平均給与額の変動に応じて見直され、今回は令和7年度の平均給与額が令和6年度より約2.7%上昇したことなどによる変更です(厚生労働省)。
計算式は賃金の水準で分かれています。30〜44歳の場合、賃金日額が3,203円以上5,480円未満なら80%、5,480円以上13,490円以下は80%から50%へ下がっていく率、13,490円超16,540円以下は50%で、16,540円を超えると上限の8,270円です(厚生労働省「基本手当日額の計算式及び金額」)。
この式で、毎月の賃金(賞与を除く)が6か月とも同じ額だった30〜44歳の人を計算すると次のようになります(1円未満切り捨て)。ここでいう賃金は、厚生労働省Q&Aのとおり保険料等が控除される前の総支給額です(手取りではありません)。
| 毎月の賃金 | 賃金日額 | 基本手当日額 | 4週間(28日)分の目安 |
|---|---|---|---|
| 21万円 | 7,000円 | 5,201円 | 145,628円 |
| 30万円 | 10,000円 | 6,307円 | 176,596円 |
| 45万円 | 15,000円 | 7,500円 | 210,000円 |
毎月同じ額なら、賃金日額は月の賃金÷30になります(6か月分÷180)。同じ月30万円でも60〜64歳は5,348円、月45万円なら29歳以下は上限の7,450円で止まります。厚生労働省が示している例(60歳未満で賃金日額6,000円なら4,683円、9,000円なら6,013円)も、同じ式で再現できます。正確な金額は、ハローワークが離職票をもとに計算します(厚生労働省Q&A)。
もらえる日数(所定給付日数)は離職理由・年齢・加入期間で決まる
基本手当をもらえる日数の上限を所定給付日数といい、離職の日の年齢、雇用保険の被保険者であった期間、離職の理由などによって90日〜360日の間で決まります(ハローワーク)。
自己都合で辞めた場合など(ハローワークの表では「1及び3以外の離職者」)は、年齢にかかわらず次の日数です。
| 被保険者であった期間 | 所定給付日数 |
|---|---|
| 1年未満 | 90日(※) |
| 1年以上10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
※特定理由離職者については、被保険者期間が6か月(離職以前1年間)以上あれば基本手当の受給資格を得ることができます(ハローワーク)。
倒産・解雇などによる離職(特定受給資格者)と一部の特定理由離職者は、年齢と被保険者であった期間で次のように分かれます。
| 離職時の年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ― |
| 30歳以上35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35歳以上45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45歳以上60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60歳以上65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
期間の定めのある労働契約が更新されなかったことによる離職(特定理由離職者の範囲の1)は、離職の日が2009年3月31日から2027年3月31日までの間にある場合に限り、所定給付日数が特定受給資格者と同様になります(ハローワーク)。就職困難者は別の表で、被保険者であった期間が1年未満なら150日、1年以上なら45歳未満は300日、45歳以上65歳未満は360日です。
★離職理由はハローワークが判定します。会社がハローワークに出す「離職証明書」は、離職前に本人が氏名を記載することになっているので、そのときに離職理由の記載も確認してください。退職勧奨なのに自己都合とされている場合など、離職理由に異議があればハローワークに相談できます(ハローワーク)。
いつから振り込まれる?待期7日と給付制限1か月
求職の申込み後の、失業の状態にある7日間は、基本手当は支給されません。これを待期といいます(ハローワーク)。
★正当な理由がない自己都合退職の場合は、待期のあとさらに給付制限があります。厚生労働省は、退職日が令和7年4月1日以降なら原則1か月、同年3月31日以前なら原則2か月としています。ただし退職日から遡って5年間のうちに2回以上、正当な理由なく自己都合退職して受給資格決定を受けた場合は3か月、自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇(重責解雇)も3か月です。
★令和7年4月以降に教育訓練等を受けた(受けている)場合は、給付制限が解除され、基本手当を受給できます(厚生労働省)。対象になる訓練と申し出の方法は、ハローワークで確認してください。
なお、ハローワークインターネットサービスの「雇用保険の具体的な手続き」のページには、給付制限を「待期期間満了後2か月間」とする記載が残っています(2026年9月28日に確認)。退職日が2025年4月1日以降なら、厚生労働省の案内とQ&Aのとおり原則1か月です。
支給は、原則として4週間に1回の失業認定日にハローワークで失業の認定を受け、認定日の約7日後に振り込まれる流れです。給付制限を受ける場合は、給付制限期間が経過した後の認定日から支給になります(厚生労働省Q&A)。
認定を受けるには、認定対象期間ごとに原則2回以上(最初の認定日までは1回)の求職活動の実績が要ります。求人情報を見るだけ、知人に紹介を頼むだけでは、求職活動に含まれません(ハローワーク)。
受け取れるのは原則1年。延長できる場合もある
基本手当を受けられる期間(受給期間)は、原則として離職した日の翌日から1年間です(所定給付日数330日の人は1年と30日、360日の人は1年と60日)。これを過ぎると、所定給付日数の範囲内であっても基本手当は受けられません(ハローワーク)。厚生労働省Q&Aも「お早めに手続きをしてください」としています。
病気、けが、妊娠、出産、育児等の理由で引き続き30日以上働くことができなくなったときは、その日数だけ受給期間を延長できます。延長できる期間は最長3年間で、住所を管轄するハローワークに申請します(代理人や郵送でも可)(ハローワーク)。雇用保険の育休中の給付は育児休業給付は条件を満たせば合計80%にまとめました。
手続きの流れと持ち物
- 離職票を受け取る:離職後、「雇用保険被保険者離職票(-1、2)」が届きます(受け取りに行く場合もあります)。交付されない場合は、住居地を管轄するハローワークに問い合わせます
- 住所を管轄するハローワークで求職の申込みをし、離職票を出す:受給要件を満たしているかが確認されて受給資格が決定し、離職理由も判定されます
- 雇用保険受給者初回説明会に出る:「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」を受け取り、第1回目の失業認定日が知らされます
- 原則4週間に1度、失業の認定を受ける:失業認定申告書に求職活動の状況などを書いて出します
手続きは月曜日〜金曜日(休祝日・年末年始を除く)の8時30分〜17時15分で、求職の申込みにも時間がかかるため16時前までの来所が勧められています。持ち物は次のとおりです(ハローワーク)。
- 雇用保険被保険者離職票(-1、2)
- 個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票のいずれか)
- 身元確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど。これらがない場合は、公的医療保険の被保険者証など異なる2種類)
- 写真2枚(縦3.0cm×横2.4cm)。手続きと支給申請のたびにマイナンバーカードを提示すれば省略できます
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード(一部指定できない金融機関があります)
★厚生労働省Q&Aは、離職票が届いた時点で就職(内定を含む)が決まっていなければ、速やかにハローワークへ来るよう案内しています。
早く再就職すると「再就職手当」
基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある段階で安定した職業に就き、要件を満たすと再就職手当が出ます(厚生労働省Q&A)。
- 支給残日数が所定給付日数の3分の2以上:基本手当日額×残日数×70%
- 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上:基本手当日額×残日数×60%
計算に使う基本手当日額には上限があり、2026年8月1日からは59歳以下6,745円、60〜64歳5,454円です(厚生労働省)。たとえば基本手当日額6,307円・所定給付日数90日の人が、60日を残して就職した場合、残日数が3分の2以上なので6,307円×60日×70%=264,894円です。
主な要件は、1年を超えて勤務することが確実であると認められること、待期満了後の就職であること、離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと、受給資格決定(求職申し込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないことなどです。★給付制限を受けた人は、待期満了後1か月間の就職が、ハローワークまたは許可・届け出のある職業紹介事業者の紹介によるものであることも要件です(厚生労働省Q&A)。
受給手続きをする前に再就職先が決まった場合は、再就職手当を含む各手当は受け取れません(厚生労働省Q&A)。再就職後に6か月定着し、賃金が離職前より下がった人向けの就業促進定着手当は、2025年4月から「就業促進定着手当の上限を支給残日数の20%に引き下げる」見直しが行われています(厚生労働省)。
受給中に気をつけること
- ★アルバイトなどをした日は必ず申告:仕事をした日は支給対象にならなかったり、収入額により減額される場合があります。申告せずに受給すると不正受給となり、以降の支給が停止され、不正に受給した額の3倍の額の納付を命じられる場合があります(厚生労働省Q&A)
- 基本手当は非課税:厚生労働省Q&Aは「雇用保険(基本手当)の給付は全て非課税ですので、確定申告の必要はありません」としています
- ★家族の扶養に入っている人:受給要件を満たせば受給できますが、基本手当を受けていると扶養家族になれない場合があるため、配偶者などが加入している健康保険組合や勤務先の福利厚生担当に確認するよう案内されています(厚生労働省Q&A)
- ★倒産・解雇や雇い止めなどで離職した人は、国民健康保険料(税)の軽減措置の対象:雇用保険受給資格者証の12欄「離職理由」が11、12、21、22、23、31、32、33、34の人が対象で、詳しくは市町村の国民健康保険担当に確認します(厚生労働省Q&A)
退職した後の住民税の納め方は住民税は1年遅れにまとめました。
収入が途切れる間は、毎月の固定費から
基本手当日額は賃金日額の80%以下なので、受給中の収入は在職中より少なくなります。減らしやすいのは、毎月決まって出ていく通信費と電気代です。
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まとめ
- 基本手当日額は賃金日額(離職前6か月の賃金÷180、賞与除く)のおよそ50〜80%(60〜64歳は45〜80%)
- 2026年8月1日からの上限は29歳以下7,450円・30〜44歳8,270円・45〜59歳9,110円・60〜64歳7,830円、下限は2,562円
- 自己都合などの所定給付日数は90日・120日・150日。倒産・解雇など(特定受給資格者)は最大330日
- ★待期は7日。自己都合の給付制限は、退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月(5年間で3回目以降の自己都合退職と重責解雇は3か月)。教育訓練等を受けると解除される
- 受給期間は原則として離職日の翌日から1年。病気・出産・育児などで30日以上働けなければ最長3年延長
- 早く就職すると再就職手当(支給残日数の60%か70%)
- アルバイトは必ず申告。基本手当は非課税。倒産・解雇や雇い止めなどは国民健康保険料の軽減を確認
離職票が届いたら、就職が決まっていない限り早めにハローワークへ。受給期間の1年は、離職日の翌日から進んでいます📄
確認した公式情報
- 基本手当について(ハローワークインターネットサービス)※失業の状態、離職の日以前2年間に被保険者期間12か月以上(特定受給資格者・特定理由離職者は1年間に6か月以上)、被保険者期間の数え方(11日以上または80時間以上)、所定給付日数が90日~360日であること、受給期間(原則1年、330日は1年と30日、360日は1年と60日)と延長(最長3年間)、賃金日額と基本手当日額(およそ50~80%、60歳~64歳は45~80%)、上限額(令和8年8月1日現在)
- 基本手当の所定給付日数(ハローワークインターネットサービス)※特定受給資格者及び一部の特定理由離職者/1及び3以外の離職者/就職困難者の3つの表、特定理由離職者の範囲の1は離職の日が2009年3月31日から2027年3月31日までの間に限り特定受給資格者と同様である旨
- 雇用保険の具体的な手続き(ハローワークインターネットサービス)※離職証明書・離職票(交付されない場合の問い合わせ先を含む)、受給資格の決定と離職理由の判定・異議、受付時間、持ち物、初回説明会、4週間に1度の失業の認定、求職活動の実績(原則2回以上)と範囲、待期7日。給付制限を「待期期間満了後2か月間」とする記載が残っている(2026年9月28日確認)
- 雇用保険の基本手当日額の変更~8月1日(土)から実施~(厚生労働省・PDF)※最高額(7,450円・8,270円・9,110円・7,830円)と最低額2,562円、令和7年度の平均給与額が約2.7%上昇したこと、60歳未満で賃金日額6,000円なら4,683円・9,000円なら6,013円の例
- 雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和8年8月1日から~(厚生労働省/都道府県労働局・ハローワーク・PDF)※賃金日額の上限額(14,900円・16,540円・18,220円・17,400円)と下限額3,203円、基本手当日額の下限額2,562円、給付率の区分、再就職手当等の算定に使う基本手当日額の上限額(59歳以下6,745円・60~64歳5,454円)
- 基本手当日額の計算式及び金額(令和8年8月1日~)(厚生労働省・PDF)※年齢区分ごとの計算式、1円未満切り捨て
- 令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます(厚生労働省)※給付制限は退職日が令和7年4月1日以降なら原則1か月・3月31日以前なら原則2か月、5年間に2回以上の自己都合退職と重責解雇は3か月、教育訓練等を受けた場合の給付制限解除
- Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~(厚生労働省)※受給要件(Q2)、離職票が届いたら速やかに(Q6)、4週間に1回の認定と給付制限後の支給(Q8)、正確な金額は離職票に基づき計算し、給与は保険料等が控除される前の総支給額(Q10)、受給期間(Q11)、給付制限(Q20)、国民健康保険料(税)の軽減措置(Q22)、扶養(Q25)、非課税(Q27)、振込は認定日の約7日後(Q29)、アルバイトの申告と不正受給(Q36)、再就職手当の要件と金額(Q39・Q40)、受給手続前の就職(Q42)
- 令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について(厚生労働省 職業安定分科会雇用保険部会・PDF)※原則の給付制限期間を2ヶ月から1ヶ月へ短縮、就業促進定着手当の上限を支給残日数の20%に引き下げ
本記事は制度の紹介であり、個別の支給額や受給可否を保証するものではありません。受給資格、離職理由、所定給付日数、基本手当日額は、ハローワークが離職票などをもとに判定・計算します。本文の金額例は、毎月の賃金が6か月とも同じ額だった場合に厚生労働省の計算式を当てはめた試算です。65歳以上の方の高年齢求職者給付金、短期雇用特例被保険者・日雇労働被保険者の給付、国民年金の手続きは、この記事では扱っていません。
最終確認日:2026年9月28日。基本手当日額の上限額・下限額は毎年度見直されます(今回は2026年8月1日に改定)。ご利用前にハローワーク・厚生労働省の公式サイトで最新の情報をご確認ください。

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